駿府城を愛する会


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家康公が愛したまち静岡

■駿府城探検 報告記

琵琶湖・安土城を巡る歴史ツアー(令和6年10月4日)

 今回の視察会は、本会と静岡商工会議所 観光・飲食部会及び徳川みらい学会との共催事業で、本会会員6名、静岡商工会議所関係8名、静岡市歴史文化課職員2名、事務局2名。合計18名の参加で実施しました。現地集合等の一部の方々を除いて、早朝7:00に静岡駅新幹線改札口に集合し、現地に向かいました。京都駅から乗り換えた貸切バスの車中では、静岡商工会議所 観光飲食部会の久保田部会長と本会の藤井会長とからそれぞれお話をいただきました。あいにくの雨模様でしたが、和気藹々の雰囲気でした。
 最初の訪問先は「光る君へ びわ湖大津大河ドラマ館」。石山寺東大門を入って左側にある建物の中に展示されていました。現在NHKで放映されている『光る君へ』に登場するキャストの相関図とコメントの展示や、撮影で使用された煌びやかな衣装を間近に観ることができました。また、紫式部の文学への思いが感じられる小道具なども展示され、4Kシアターではドラマのテーマを深堀した映像が上映されており、ドラマを一層楽しめる工夫を感じました。
 大河ドラマ館を後にして参加者は、限られた時間の中で石山寺を散策しました。大河ドラマ館の先の右側に長い階段があり、それを昇り切ると左側に本堂が見えてきました。この中には、「源氏の間」があり、紫式部が参籠して源氏物語を着想したと伝えられています。さらに奥に進むと、硅灰石の上に建っている多宝塔が見えてきました。硅灰石は、石灰石が花崗岩と接触し変質したもので、国の天然記念物に指定されているようで、その石を模した『石餅』が門前で売られていました。




石山寺 東大門前で記念撮影


 次の訪問先は「安土城天守 信長の館」。本会が駿府城天守の1/10模型制作を試みつつ、現在は静岡市によるVR・ARによる駿府城再現事業を支援・協力する立場から、今回の視察会のメインの場所として選定しました。
 入場すると、いきなり『安土城天守最上部の原寸大復元模型』が目に飛び込んできました。この模型は、1992年のセビリア万博の日本館のメイン展示として復元され、博覧会の中で最も入場者が多かったという記録が残っています。信長の姿勢と思想が余すことなく表現された壮大な空間で、圧倒される思いでした。



 しばらくして、『VR安土城シアター』で“絢爛安土城”の上映があり、視聴しました。ポルトガル人宣教師ルイス・フロイスが、総棟梁を務めた岡部又右衛門に城内を案内されるという設定で描かれていて、バーチャルの世界ながら当時の安土城に居るような没入感を覚えるものでした。
 なお、『信長の家康饗応膳の復元レプリカ』が展示されていました。天正10年に信長が勝頼討伐で功をなした家康を安土城にもてなしたときの饗応メニューでした。このとき、饗応役の光秀が何らかの理由で信長の怒りを買い、饗応役を解任されて毛利と戦っている秀吉の支援を命じられ、これが原因で本能寺の変が引き起こされたという逸話があります。

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安土城内部(4階までが吹き抜け)


三番目の訪問先は「安土城考古博物館」。中世ヨーロッパ・ロマネスクをイメージした建物で、いかにも信長好みの感じでした。ここでは、滋賀県文化スポーツ部文化財保護課 安土城・城郭調査係専門幹 松下 浩 氏が案内をしてくださいました。



 第二常設展示室には、観音寺城跡、小谷城跡など近江の中世城郭が紹介され、安土城跡の復元模型や平成元年度からの発掘調査の成果、さらには安土城を築いた織田信長関連の資料が展示されていました。また、観音寺城、安土城、彦根城の石垣が再現されていました。



 見学が一応終了した後、2回のセミナールームで、松下氏が「『幻の安土城』復元プロジェクト」の解説をしてくださいました。
「まず、安土城の見える化により、安土城の価値・魅力を発信し、県及び地域の盛り上がりにつなげることが目的である。その具体的方向性として、①安土城の実像の解明と保全、②デジタル化による安土城の見える化、③復元に向けての機運の醸成を柱とする。そして、令和8年には、「安土城築城450年祭」として、発掘調査公開、デジタル見える化公開、博物館リニューアル等を行う。」と述べられました。
 また、近江八幡市が運営する「信長の館」と滋賀県が運営する「安土城考古博物館」の関係について問われると、「近江八幡市は内藤昌説に基づいて見える化を展開しているが、滋賀県は内藤説を含めて6つの説があるので諸説があることを紹介したい。」と回答されたことが印象的だった。
 史料が乏しい歴史的遺跡の復元の在り方について考えさせられる有意義なツアーでした。訪問先の関係各位の皆様の行き届いたおもてなしに心から感謝申し上げます。


(文責・事務局長 木宮岳志)